スムーズなアプリ決済で、タクシー乗車体験をより快適に
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株式会社Mobility Technologies
開発本部 ハードウェア開発部 副部長 米山 輝一氏
タクシーアプリなどの事業統合により、2020年4月から新体制でスタートしたモビリティDXカンパニー。"移動で人を幸せに。"をミッションに、タクシーアプリ「GO」「JapanTaxi」の運営の他、タクシー車内での広告や決済、タクシー需給予測による乗務員の営業サポート、ドライブレコーダーや交通事故削減支援システム「DRIVE CHART」、自動運転社会やスマートシティの実現を見据えたビッグデータ解析などのR&D事業と幅広く事業を展開。SoundUDシステムを導入した開発本部ハードウェア開発部は、各種モビリティサービスで利用されるハードウェア製品の設計・開発・サポート等を手がけている。
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アプリ決済を行うためのタクシー車内での操作を簡便にする。
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タクシー車内のタブレットからSoundUDトリガーを発信し、タクシー配車アプリ「GO」で受信して車両情報とアプリ情報を紐付けることで、アプリ決済を行えるようにする。
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よりスムーズなアプリ決済を実現すると同時に、“新しい日常”に適したキャッシュレス決済を促進。
二次元コードに代わる技術を探して
私は後部座席タブレットという車内のデジタルサイネージプロダクトを担当しており、このプロダクトを通じてタクシーの車内体験を向上させたいと思っています。
例えば、決済はこのプロダクトの重要な機能の一つですが、通常のタクシーでは目的地に着いたときに運賃が確定するので、着いてからしか支払いができません。しかし、都心のタクシーはビジネス利用が多く、目的地に着いたらすぐに降りたいというニーズがかなりあります。
そこで弊社(当時はJapanTaxi株式会社)が提供したサービスが「JapanTaxi Wallet」です。乗車中にタブレット端末を操作して二次元コードを読み込み、決済予約をしておけば、料金情報が確定した時点で決済が行われ、到着後すぐに降車できるというものです。
このサービスにより、ユーザーに快適で便利な車内体験を提供できるようになりましたが、走行中の車内で二次元コードを読み込むのは難しいところもあり、それをなんとか解決できないかと考えていました。
そこで思い出したのが、数年前に展示会で見て、魔法のような不思議な技術だと印象に残っていたSoundUDの技術です。私はシンプルな技術が好きなので、マイクとスピーカーに依存せず利用できる点も素晴らしいと感じていました。今回、他の音響通信ソリューションも検討しましたが、性能を比較した結果、SoundUD SDKを採用させていただくことにしました。
SoundUDで車両とユーザーを紐付ける
タクシーを利用する場合、主に道や乗り場で空車のタクシーを止めて乗車する方法(いわゆる「流し」)と、電話やアプリで手配して乗車する方法があります。アプリ配車の場合は注文時にユーザーが特定できるため、アプリに登録したクレジットカード等での決済が可能ですが、流しの場合は乗っただけではユーザーを特定できないので、そのままではアプリ決済ができません。
そこで車両とユーザーを紐付ける手段として二次元コードを使っていたわけですが、より快適なユーザー体験を提供していこうと、二次元コードに代えてSoundUDを活用することを決めました(SoundUDが利用できなかった場合のために二次元コードも利用可能)。
タブレットから発信されるSoundUDトリガーを「GO」アプリで受信すると、車両と日時等、その乗車を一意に特定するキーが読み込まれ、ユーザーと乗車が紐づきます。さらにタクシー車内にはタクシーメーターと連動したIoT機器が設置されており、目的地に着いて料金が確定した段階で決済が実行される、という仕組みです。ユーザーにはあらかじめ、「GO」アプリ内に決済手段を登録しておいていただく必要がありますが、SoundUDの導入により、使い勝手のよいアプリになったと考えています。
*配車アプリ「GO」は2020年9月リリース。SoundUDシステムはその前身のアプリ「MOV」から導入済み。
安心・安全も提供できるソリューション
2020年春には新型コロナウイルス感染拡大の影響で人の移動が制限され、タクシー業界全体にかなりの影響がありました。緊急事態宣言が明けてからも、訪日外国人の多かった観光地などではまだまだ影響が継続している状況です。
タクシー業界としても、より安心・安全な移動を提供するべく、後部座席と運転席の間にビニール製のカーテンを取り付けたりなどしています。手を触れる機会が少ないキャッシュレス決済のご利用も呼びかけており、SoundUDはその点でも非常に時代に合ったソリューションだと思っています。
このサービスは5月から神奈川県、茨城県、群馬県、岐阜県、宮城県の一部でスタートし、8月には全国1.5万台で対応になりました。今後、さらに対応可能な台数を増やしていく予定です。
SoundUDはサイネージのみならず、エンタメや実用系など様々なコンテンツで活用が可能なツールだと思います。今後もよりよい車内体験のために活用できると考えていますし、SoundUDシステムを利用できる場所が増え、このシステムがよりインフラ的なものになることで、タクシー車内に限らない、さらに便利なユーザー体験が実現できるのではないかと期待しています。
公開日時 : 2020年9月18日